自分の誕生日が「おめでとう」から「ありがとう」へ
いつ頃からか誕生日を祝ってもらうことがあまり好きではない。
決してたいそうな主義主張があるわけではない。
気恥ずかしいから。理由はこの程度だ。もう少し理屈っぽく掘り下げると「誰にも共通でやってくる定期的な区切りに、子を思う親心ならともかく、私なんかにお祝いメッセージというのもどうだろうか」とどうしても感じてしまう。したがってFace Bookの誕生日項目はずいぶん昔から非公開にしているし、3年前の私の還暦祝いは家族の申し出にも勘弁願った。
このようにひねくれ者の私にとって、先輩である旧知の日本フィランソロピー協会S理事からいただいた誕生日寄付のご案内はごく自然にありがたく受け入れさせていただいた。何かされるのが恥ずかしいのであれば、何かすれば良いだけのことだったのだ。こんな私でも自らの誕生日にはひとり、祖母や両親から聞かされた生まれた日に思いを巡らすし、当然深く感謝の気持ちにもなる。「おめでとう」と言われる日というより「ありがとう」と言う日なのである。誕生日にこちらから能動的に行動する、これこそ理想的なあり方と感じた次第である。馬齢を重ねた御礼として、ささやかではあるが協会を通じて御恩返しさせていただく。誕生日当日の朝の手続きがここ何年かの貴重な私の誕生日ルーティンとなった。
このように誕生日の清々しさを感じていると、サラリーマン生活もそろそろ終焉に近づきつつある昨今、もう少し元気に過ごせるよう努力・節制が必要だと不思議な力が湧いてくるからありがたいものである。日本フィランソロピー協会殿とのご縁をいただいた理事長様、S理事様、M先輩にこの場をお借りして深く感謝の意を表したい。
浅野誠一郎(あさのせいいちろう)
信託銀行入社、経営企画部署等、名古屋担当常務、年金営業担当専務、証券代行担当専務を経て役員退任、子会社社長、会長(現任)(2024.12.1現在)